お通夜の流れは、お通夜や受付の準備、遺族・親族・僧侶の入場、開式・閉式など事前に把握しておくとよいでしょう。参列者として参加する場合は、服装や香典、焼香などのマナーも身につけておくことが大切です。 そこで本記事では、お通夜の参列者が守るべき服装のマナーや香典に関するマナー、正しい焼香の作法をご紹介します。そのほか、お悔やみの言葉の例文もお伝えするので、参列者としてのマナーを身につけたい方は参考にしてください。
お通夜の流れ
お通夜をトラブルなく行うために、事前に流れを把握しておくとよいでしょう。ここでは、お通夜の流れについて、7つのステップに分けてご紹介します。
通夜の準備
お通夜の準備では、喪主または遺族からお通夜や葬儀、告別式を行う旨を参列者に連絡します。参列者として参加するだけではなく、受付係や案内係、会計係としても参加する場合は、参列者が訪れる時間よりも先にお通夜の準備を行うことが必要です。
受付準備
お通夜に参列する方が訪れる前に、受付の準備を行います。一般的には、参列者の受付時間は、お通夜の開始時間の30分〜1時間ほど前です。参列者は、会場に到着したら芳名帳に記帳して受付を済ませ、香典を渡す流れとなっています。
遺族・親族・僧侶入場
お通夜が開始する1時間ほど前に遺族や親族、開始時間の30分ほど前に僧侶が会場に到着します。遺族や親族は控え室で待機し、僧侶が到着したら喪主や世話役が挨拶して、控え室に案内する流れです。入場する時間が来たら、遺族・親族・僧侶それぞれが入場します。
開式
遺族や親族、僧侶が入場しお通夜をはじめられる準備が整ったら、開式となります。お通夜の開式時間は、一般的に18時〜19時であることが多いです。参列者は、開式の15分前までに到着しておくとよいでしょう。
読経・焼香
お通夜が開式したら、僧侶による読経と遺族や参列者による焼香を行います。焼香を行うタイミングは、僧侶または会場のスタッフが案内してくれるケースがほとんどです。ただし、焼香の開始時間は宗派によって異なります。
閉式・通夜終了
読経や焼香が終了したら、喪主が遺族を代表し挨拶します。喪主からの挨拶が終わったら、お通夜は閉式し終了となるのが流れです。
通夜振る舞い
お通夜が終了したら、食事やお酒などを参列者に振る舞います。遺族や参列者で故人に関する思い出話を行うのが目的であり、参列者は食事に1口でも箸をつけるのがマナーです。
お通夜の翌日には葬儀や告別式を行うので、喪主や遺族はお通夜が終了したあとに準備を行わなくてはいけません。そのため、参列者はお通夜後に長居しないように注意が必要です。
参列者として守るべきお通夜のマナー
参列者としてお通夜に参加するときは、服装や身なりに気をつける必要があります。ここでは、参列者として守るべきお通夜のマナーについて、服装やアクセサリー、髪型などの身なりのマナーを解説します。
服装のマナー
お通夜の参列者の服装は基本的に喪服ですが、具体的にどのような格好で参加すべきか、わからない方もいるでしょう。男性と女性でどのような服装で参加すべきか、チェックしておきましょう。
男性の場合
男性の参列者の服装は、光沢素材ではない黒色のスーツが一般的です。ジャケットは、シングルブレスト、ダブルブレストどちらでも問題ありません。パンツは、裾上げされていないシングルのものを着用しましょう。 ワイシャツは、白色で無地のレギュラーカラーのものが適切です。色ものや柄もの、ボタンダウンのシャツは避けましょう。ネクタイは、光沢素材ではない黒色で無地のものを着用します。
ベルトや靴下も、黒色で無地のシンプルなものを選びましょう。バックが目立ったり蛇柄で派手になったりするベルトや、金具などの飾りがついている靴は避けるのが無難です。
女性の場合
女性の参列者の喪服は、光沢素材ではない黒色のアンサンブルやワンピース、パンツスーツが一般的です。スカートは、膝が隠れる位置よりも長い丈を選びましょう。トップスは、夏場で暑くても肌の露出を抑えるために、5分袖までのものを着用します。 ストッキングは、30デニール以下の黒色で薄手のものが推奨されています。厚手のタイツは、お通夜の服装として不適切であるとされるので注意しましょう。
パンプスは、布または革の素材のものが適切です。エナメル素材やヒールの高いパンプス、ミュール、サンダルはお通夜の場に不適切なので避けましょう。
アクセサリーや小物
お通夜の参列者のアクセサリーや小物は、光るものを避けるのが原則となっています。アクセサリーの場合は、金色の結婚指輪や複数のピアスなどは、参加する前に取り外しておくとよいでしょう。
ただし、シルバーでダイヤのサイズが小さい指輪は、取り外さなくても問題ありません。ピアスやネックレス、指輪は、白いパールが1粒のシンプルなデザインであれば、つけていても問題ありません。ただし、地域や世代によってはアクセサリーはつけない、という考え方もあるため、参列する際は地域性などを確認するとよいでしょう。
メイクや髪型
お通夜の参列者のメイクや髪型は、派手ではなく目立たないものにしましょう。メイクは、濃すぎないアイシャドウ、透明なマスカラ、もとの唇の色に近い色の口紅などを使った片化粧と呼ばれるナチュラルメイクが推奨されています。
数珠の選び方
数珠の種類は、108個の珠が揃った本式数珠と、使いやすいように珠の数を少なくした略式数珠の2つに分けられます。数珠に使われている素材は木や石などが主流となっており、素材や色もさまざまです。
略式数珠は珠の数を減らしているので、手のサイズが小さい方でも使いやすいです。一般的な数珠は、どの宗派のお通夜で使っても問題ありませんが、宗派によって数珠の形などが異なるケースがあるので、把握しておきましょう。
お通夜での香典マナー
お通夜で香典を用意するときは、香典袋の選び方や書き方などのマナーを把握しておくことがポイントです。ここでは、お通夜での香典マナーについて、香典袋の選び方や書き方、香典の金額の目安などをご紹介します。
香典袋の選び方
香典袋の表書きの種類は、御霊前や御香料、御香典、御悔、御榊料、玉串料、御花料、志などがあります。仏式では四十九日までは御霊前、四十九日を迎えてからは御仏前または御佛前が一般的です。 また、仏式用の香典袋には蓮の花が印刷されているものが多いです。神式やキリスト式用の香典袋には、印刷されていないものを選びましょう。キリスト式用の香典袋には、右上に十字架が印刷されているものを使うのが一般的です。
香典袋の書き方
香典袋を準備する際、表袋の上段に表書き、下段に名前、内袋に住所を記載する必要があります。御霊前は宗派問わず表書きに用いられることが多いですが、浄土真宗では亡くなったその日に仏となるという教えがあり、御霊前を用いると失礼にあたるので、注意が必要です。
香典の金額の目安
香典の金額は、故人との関係性や自分の年齢などによって変わります。親族の参列者の場合、祖父母は1万円〜5万円、親は5万円〜10万円、兄弟姉妹は3万円〜10万円、叔父や叔母は5,000円〜3万円、そのほかの親戚は5,000円〜2万円が目安です。 友人や近所の参列者の場合、友人やその家族は5,000円〜1万円、隣人や近所の方は3,000円〜1万円、そのほかの付き合いの方は3,000円〜1万円が目安となっています。
職場や仕事関係の参列者の場合、勤務先の上司や部下は5,000円、勤務先社員の家族は5,000円、取引先関係の方は5,000円〜1万円が目安です。勤務先社員やその家族であれば、自分の年齢に関わらず一律5,000円が目安となっています。
香典を渡す適切なタイミング
香典は、受付を済ませたときに渡すのが、適切なタイミングです。受付で名前や住所を記帳したあとにその場で香典を渡し、お悔やみの言葉を一言伝え、深く一礼しましょう。受付がない場合は、遺族に直接渡すか、会場スタッフや世話役などに渡すことが多いです。
自宅で家族葬を行っているときは、遺族に挨拶するときに香典を渡すか、仏前にお供えするとよいでしょう。このように、お通夜の規模や状況によって渡し方やタイミングが異なるので、どのような形でお通夜を行うのか、事前に聞いておくことがポイントです。
香典の渡し方の作法
香典を渡すときは、袱紗(ふくさ)から香典を取り出して渡す必要があります。正しい作法としては、袱紗を右手に乗せて、左手で包んでいる袱紗を開きます。袱紗を持っていない場合は、ハンカチで代用するとよいでしょう。 香典を渡す際は、両手で持って表書きなどの文字を相手側が読めるように、向きを変えてから渡すのがマナーです。そのとき、香典を包んでいた袱紗は、受付の台に置いておきましょう。
自宅でお通夜を行っている場合は、仏前に香典を供える形で渡すケースがあります。このときは、自分自身が表書きなどの文字を読める向きにして、供えることが基本です。
香典を渡す際の言葉遣い
香典を渡すときは「この度はご愁傷さまです」などと、一言述べるのがマナーとなっています。宗派によって死に対する考え方や教えが異なるケースがあるので、故人の家の宗派を事前に把握しておくと、適切な言葉遣いなどが明確になるでしょう。
通夜での正しい焼香の作法
お通夜では参列者が1人ずつ焼香を行う必要があり、どのような流れで焼香をすべきか把握していない方もいるでしょう。ここでは、お通夜での正しい焼香の作法について解説します。
立礼焼香の場合(椅子に座っている葬儀)
参列者が椅子に座っている葬儀では、立礼焼香が好まれています。立礼焼香では、まず祭壇に近づき、遺族に頭を下げて一礼しましょう。香炉の前まで行ったら、次に故人に頭を下げて一礼します。 香を軽く指でつまんで、顔のあたりまで上げたら落とします。故人に対して手を合わせて頭を下げたら、数歩下がり遺族に頭を下げましょう。自分の席に戻って座るまでが、立礼焼香の正しい作法の流れとなっています。
座礼焼香の場合(畳の上で座っている葬儀)
参列者が畳の上に座っている葬儀では、座礼焼香が好まれています。焼香の流れや作法は、立礼焼香とほとんど変わりません。異なる点としては、移動の際は中腰で動き、焼香は正座で行うので、ほかの参列者の邪魔にならないように低い姿勢で移動するのが特徴です。
回し焼香の場合(小さな葬儀場など)
自宅や小さな葬儀場などでお通夜を行う場合は、回し焼香が好まれています。回し焼香では、香炉が自分のところに回ってきたら、軽く頭を下げます。香炉を膝に置いたら手を合わせて、香を指で軽くつまみましょう。 立礼焼香や座礼焼香と同じように、つまんだ香を顔あたりまで上げて落とします。故人に再度手を合わせて頭を下げたら、次の方に香炉を渡します。
焼香の順番は遺族や親族から
焼香の順番は、遺族や親族などの血縁関係のある方から行うのが一般的です。お通夜の席は、故人との関係性で指定されており、席順で焼香を行うケースがあります。喪主や会場スタッフが案内するケースもあるので、順番を詳細に把握しておかなくても問題ありません。
遺族や親族内の場合、配偶者、子ども、兄弟姉妹、そのほかの親族という順番になります。関係性の深さを明確に判断できないときは、年齢の高い方から順番に行います。
香炉の前での動作は静かに
香炉の前では、一礼したり香をつまんで落としたりする必要があります。焼香の作法では、香炉の前での動作を静かに丁寧に行うことが大切です。香炉の前での動作以外に、席から離れたり席に戻ったりするときも静かに移動しましょう。
数珠の使い方に注意
焼香では、数珠を持っていくのがマナーとなっています。数珠の使い方は、左手で房を下にした数珠を持ち、右手で焼香を行うのが一般的です。通常、左手の4本の指に数珠をとおしますが、長い場合は二重にし、短い場合は親指と人差し指の間にかけるとよいでしょう。
ただし、宗派によって数珠の珠の形などが異なるので、故人の家の宗派に合わせて数珠を選ぶのがポイントです。数珠は自分の身代わりという考え方があるので、人に貸したり雑に扱ったりするのは避けましょう。
数珠の使い方など、お通夜でのマナーが把握できていない場合は、葬祭ディレクターなどのプロに相談することもおすすめです。株式会社メモリードは、厚生労働省認定の一級葬祭ディレクターが多数在籍しているので、わからないことがあれば相談しやすいでしょう。
お通夜でかけるべきお悔やみの言葉
お通夜では、どのような言葉をかければよいかわからない方もいるでしょう。ここでは、お通夜でかけるべきお悔やみの言葉の例文や、避けるべき言葉をご紹介します。
お悔やみの言葉の例文
お通夜でのお悔やみの言葉の一般的な例文は「このたびはご愁傷さまでございます。心からお悔やみ申し上げます」です。 そのほか、「このたびは本当に残念でなりません。お力落としのことと存じますがどうかご自愛ください」「このたびは思いがけないことで、さぞお力落としのことでございましょう」などがあります。
配偶者を亡くした方には「このたびは誠にご愁傷さまでございます。奥様のお悲しみもいかばかりかと存じます」など、子どもを亡くした方には「このたびはご愁傷さまでございます。ご両親の悲しみを思うと胸が痛みます」などと伝えるとよいでしょう。 遺族と故人との関係性に合わせて、お悔やみの言葉の内容を変えることもポイントです。故人のご冥福を祈っていることや、遺族への心遣いなどを伝えることが大切です。
お通夜で避けるべき言葉
お通夜では、忌み言葉や遺族にとって負担になる言葉、故人の家の宗派に合わない言葉などは避けましょう。忌み言葉は、縁起の悪さを連想させる言葉であり、死や死亡などの直接的な言葉も含まれます。 また、不幸な出来事が繰り返されることは避けたいものです。そのため、くれぐれも、再びなどの重複を意味する言葉も避けるようにしましょう。
お悔やみの言葉を受け取る遺族は、心身ともに疲弊していることがほとんどです。励ましの言葉を伝えても負担に感じる可能性があるので、相手の気持ちに寄り添って尊重することを心がけましょう。 宗派によっては忌み言葉が定められているケースがあり、一般的なお通夜では問題なくても、宗派によって場違いな言葉を伝えてしまうことがあります。
たとえば、仏教の場合、浮かばれないや迷うという言葉は、故人が成仏できないことを連想させる忌み言葉として知られています。神道やキリスト教では、供養や冥福、成仏などのお悔やみの言葉が、忌み言葉となるケースがあるため注意が必要です。
お通夜でお悔やみの言葉を伝えるタイミング
お通夜でお悔やみの言葉を伝えるタイミングは、受付と、お通夜の会場の2回です。受付の方にお悔やみの言葉を伝えるときは、順番を待っている参列者がうしろに並んでいることもあるので、簡潔に伝えましょう。 お通夜の会場では、遺族に直接お悔やみの言葉を伝えます。遺族は、家族が亡くなったことや、葬儀の準備などで疲弊しているケースがほとんどなので、遺族の気持ちに寄り添った言葉を伝えましょう。
まとめ
お通夜の流れは、会場の規模や故人の家の宗派などによって異なります。焼香の作法も、形式によって異なり、中腰の低い姿勢で香炉から席の間を移動したり、移動せずに香炉を回しながら焼香したりする方法があります。 参列者は、黒色でシンプルなデザインの服装を選んだり、派手なアクセサリーや光るものを身につけるのは、避けることが大切です。お悔やみの言葉や、伝えるタイミングなども把握しておくとよいでしょう。
株式会社メモリードは、厚生労働省認定の一級葬祭ディレクターによる、お客さま一人ひとりの要望に沿ったご提案をしています。終活サポートからアフターサポートまで充実しているので、お通夜や葬儀についてご相談したいことがあれば、お気軽にお問い合わせください。