葬式費用の相場はいくら?費用を抑える方法と支払う人の決め方

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葬儀は、誰にとっても避けては通れない人生の節目です。突然の別れは精神的な動揺と同時に、現実的な対応も求められます。

なかでも大きな負担となるのが費用の問題です。「どれくらいの予算を見込めばよいのか」「具体的に何にどれだけお金がかかるのか」といった疑問を抱えながら、短い準備期間のなかで決断を迫られる方も少なくありません。

この記事では、葬儀にかかる費用相場や項目の内訳について、わかりやすく解説します。

葬式の費用相場は?

葬式の費用相場は、100万円以上から200万円未満が一般的です。ただし、参列者の人数や葬儀の内容によって変動するため、家族内でよく相談しながら準備を進めることが大切です。

ここでは、葬式全体にかかる費用を3つに分けて解説します。

葬式にかかった費用相場

10人前後で執り行う一般的な家族葬の場合、全体の費用相場は約50万円〜135万円です。株式会社鎌倉新書が行った「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」によると、葬儀費用の平均は118.5万円とされています。

また、火葬に関する費用は、喪主が直接火葬場に支払うケースと、葬儀社が一時的に立て替えて、後から請求に含めるケースの2パターンがあります。請求書に火葬費用が記載されている場合は、事前立て替えの精算と考えてよいでしょう。

なお、費用相場に開きがあるのは、使用する施設の種類や設備、地域の物価、宗教的儀礼の有無など、さまざまな要因が関係します。

たとえば、公営斎場を利用すれば費用を抑えられますが、民間のセレモニーホールを利用する場合は、サービスが充実している分費用も高くなる傾向があります。どちらにすべきかは、無理のない予算内で検討しましょう。

出典:株式会社鎌倉新書「第6回お葬式に関する全国調査(2024年)」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000069.000009951.html

葬儀時の飲食にかかった費用相場

葬儀における飲食接待費の相場は、10万円〜30万円前後です。通夜の後に出される「通夜振る舞い」や告別式後の「精進落とし」、火葬を待つ間の仕出し弁当や軽食、飲み物代などが含まれます。

費用は参列者の人数や料理の品数・グレードによって増減します。たとえば、10人前後の家族葬の場合は、小規模な会食になるため全体的に費用を抑えやすい傾向にあります。一方で、料理内容にこだわったり、飲料や配膳のサービスを追加したりすることで金額は上がります。

返礼品にかかった費用相場

葬儀で必要となる返礼品の費用相場は、平均して約22万円で、香典返しや会葬返礼品がこれに該当します。ただし、返礼品の費用は参列者の人数に比例して増えます。

まず、香典返しとは、いただいた香典へのお礼として贈る品です。基本は、いただいた金額の半分(半返し)です。たとえば、1万円の香典には5,000円程度の香典返しを選びます。ただし、3万円を超えるような高額な香典の場合は、3分の1〜4分の1程度でも問題ありません。

一方、会葬返礼品(会葬御礼)は、香典の有無にかかわらず、参列者全員に渡す品です。価格帯は1,000円前後、高くても2,000円以内が目安とされています。高価すぎる品はかえって参列者に気を遣わせてしまうため、控えめで質の良いものを選びましょう。

葬式費用の内訳

葬儀にはさまざまな費用がかかります。大きく分類すると「葬式一式費用」「接待・飲食費用」「お布施」の3つに分けられます。それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。

葬式一式

通夜や告別式を行うために必要な準備や進行にかかる費用を、葬式一式費用(または葬儀本体費用)と呼びます。内容は大きく分けて「葬祭用具費用」と「サービス費用」の2つです。

葬祭用具費用とは、葬儀に必要な道具類にかかる費用です。


  • ・棺や納棺用品
  • ・祭壇
  • ・遺影写真の準備
  • ・位牌や焼香台などの仏具類
  • ・遺体保全用の保冷剤
  • ・セレモニーホールや斎場などの施設使用料 など

一方、サービス費用は式を滞りなく進めるための人件費です。


  • ・納棺・通夜・葬儀・告別式の進行サポート
  • ・駐車場の誘導や警備
  • ・寝台車・霊柩車などの運転や搬送手配 など

こうした費用は、葬儀の規模や使用する施設によっても変動しますが、葬儀の基本的な構成を支える中核的な費用といえます。

接待・飲食

葬儀における接待・飲食の費用は、参列者への料理の提供や香典返しなど、もてなし全般にかかる金額を指します。地域や参列者の人数によって差が生じやすく、飲食接待費は葬儀費用全体のなかでも変動が大きい項目です。

費用の主な内訳は、以下のとおりです。


  • ・通夜振る舞いや精進落としなどの料理代
  • ・会葬返礼品
  • ・香典返し
  • ・遠方からの弔問客の宿泊費 など

接待・飲食費は、あらかじめ見積書に含まれるケースが一般的です。しかし、実際は参列者数に応じて最終的な請求額が変動します。そのため、請求額が見積額を上回る可能性もあります。

お布施

お布施は、住職や神主など宗教者に渡す謝礼です。仏教であれば、お経をあげてもらい、戒名を授けてもらうときの感謝の気持ちを表します。また、お布施以外に宗教者への交通費として御車代、食事の謝礼として御膳料を渡すケースもあります。

ただし、お布施は葬儀費用の見積書には含まれておらず、喪主が宗教者へ直接渡すのが一般的です。金額に決まりはなく、一般的には約10万円から35万円が目安とされています。宗教や地域、家族との関係によって変わるため、迷ったときは寺院や神社、葬儀社、親戚に相談するとよいでしょう。

葬式の主な追加費用

葬儀の基本プランには、式の進行に必要な最低限のサービスが含まれており、それだけでも葬儀自体は滞りなく執り行えます。とはいえ、参列者の人数や遺族の希望に応じたオプションを加えることで、より配慮の行き届いた、満足度の高い葬儀にできるでしょう。

追加費用は選択するオプションや人数によって大きく異なります。そのため「何に重点を置くか」を明確にしたうえで選択肢を検討し、事前に見積もりを確認しておくことが重要です。

サービスの追加やグレードアップ

基本プランに含まれていないサービスを加えたり、内容の質を高めたりすると、追加費用がかかります。

たとえば、故人の体を丁寧に清める「湯灌(ゆかん)」や、長時間きれいな状態を保つ「エンバーミング(防腐処置)」などは、特別な技術が必要なため、ほとんどのプランに含まれていません。

また、棺や骨壺、祭壇などの備品を標準より上位グレードに変更したい場合も、追加料金が発生します。ほかにも、故人のお顔を整える化粧や修復なども内容によっては有料になります。

どのサービスを追加するかによって費用は大きく変わりますが、見積もりの段階で細かく確認できるのが一般的です。わからないことや不安がある場合は、葬儀社へ相談し、納得したうえで選ぶことが大切です。

バスの手配

参列者の送迎にバスを利用する場合、別途チャーター費用がかかります。式場や火葬場は郊外にあることも多く、公共交通機関だけでは移動が不便なケースも少なくありません。

とくに、高齢の参列者が多いときや、土地勘のない場所での葬儀には送迎バスの利用が適しています。遺族の負担を減らす意味でも、まとまった人数の移動には送迎バスがあると安心です。

バス料金は国土交通省の指針にもとづいており、出発地から目的地までの距離や時間をもとに「時間・キロ制運賃」で算出されます。加えて、バスの種類(中型・大型など)や利用日(繁忙期か閑散期か)によっても費用は変動します。運行会社によっても価格差が生じるため、正確な費用は見積もりを取る必要があります。

費用の内訳には、車両代・ガソリン代・運転手の人件費・保険料などが含まれます。見積もりを依頼する際は、出発地・経由地・到着地・所要時間・希望するバスの大きさやオプションなどをできるだけ具体的に伝えると、スムーズに費用を把握できるでしょう。

飲食や返礼品

料理や返礼品は、内容や数量に応じて費用が大きく変わる項目です。通夜の「通夜振る舞い」や、告別式後の「精進落とし」といった料理は、参列者をもてなすために外せないと考える方もいるでしょう。

また、香典をいただいた方に贈る「香典返し」や、参列者全員に配る「会葬返礼品」なども、品物の選び方や数によって費用が上下します。とくに、豪華な食事や高額な返礼品を選べば、その分追加費用はかさんでしまうでしょう。こうしたものに費用の上限はないため、あらかじめ予算の上限を設定しておくことが重要です。

費用を抑えたい場合は、品数を絞る、個別包装の返礼品を選ぶといった工夫もよいでしょう。葬儀社では、過去の実績にもとづいて適切な数量や内容を提案を行っているため、希望や予算を明確に伝えたうえで相談するのもおすすめです。

参列者の人数や状況に応じた対応

参列者が想定より増えた場合、料理や返礼品の追加により費用が上乗せされます。家族葬など少人数を想定した葬儀でも、声をかけた親族や関係者がほかの人を誘うケースもあり、当日になって人数が膨らむケースも少なくありません。

参列者が予定より増えた場合、急きょ追加の手配が必要になるため予定外の出費が発生します。見積もりではあくまで想定人数にもとづいた費用が提示されますが、当日の状況次第で最終的な請求額が変わる可能性もあるため注意が必要です。

人数の変動が予想される場合は、事前にその旨を葬儀社へ伝えておくことで、柔軟な対応がしやすくなります。

もし、見積もりと請求額に差がある、あるいは内容がわかりにくいと感じた場合は、遠慮せず葬儀社の担当者に確認しましょう。費用の内容をしっかり理解することで、不安を残さず、納得のいく葬儀を執り行えます。

葬式費用は形式によっても異なる

葬式費用は、選ぶ形式によっても大きく変動します。予算だけでなく、遺族や故人の意向・関係者の人数・日程などを踏まえて、形式を選ぶことが大切です。ここからは、葬儀形式と費用目安について、詳しく解説します。

一般葬

一般葬は、親族だけでなく故人の友人・知人・会社関係者など広く参列者を招いて執り行う、もっとも一般的な葬儀形式です。通夜と告別式の2日間にわたって多くの参列者に対応するため、会場規模や料理・返礼品などの費用も全体的に高くなる傾向があります。

葬儀費用の平均は約161.3万円と、ほかの形式と比べて高額です。もっとも多い価格帯は120万円以上から140万円未満となっており、社会的なつながりが広い方や会社関係者の多い方が一般葬を選ぶ傾向があります。

遺族にとっては準備にかかる労力も大きくなりますが、社会的なつながりを大切にしながら、多くの方に故人を見送ってもらえる葬儀形式です。

家族葬

家族葬は、近親者やごく限られた関係者のみで執り行う、小規模な葬儀形式です。一般葬と同様に通夜・告別式の2日間を設けつつも、参列者を限定することで、準備の負担や費用を抑えやすい特徴があります。

葬儀費用の平均は約105.7万円で、回答が多い価格帯は60万円以上〜80万円未満です。「身内だけで落ち着いた雰囲気で送りたい」といった遺族や故人の意向から選ばれるケースが増えています。

ただし、葬儀後に訃報を知った方のなかには「最後に一目会いたかった」と残念に感じる方がいるかもしれません。思い違いや誤解を避けるためにも、家族葬で執り行う旨をあらかじめ訃報とともに伝えておくなど、周囲への丁寧な配慮が求められます。

一日葬

一日葬は通夜を省略し、告別式と火葬を1日で行う簡素な葬儀形式です。遠方から来る親族の負担軽減を考慮して選ばれることが多く「できるだけシンプルに、かつ儀式としてはしっかりと送りたい」と希望する家族に支持されています。

費用面では、葬儀費用の平均が約87.5万円、回答が多い価格帯は20万円以上〜40万円未満です。通夜を省略することで会場使用料や飲食にかかる出費が少なくなり、全体的に負担が軽くなる傾向があります。

ただし、ゆっくりとしたお別れの時間を持ちにくくなるため、家族やご親族と十分に話し合ってから決めることが大切です。

直葬・火葬

直葬(または火葬式)は、通夜や告別式を行わずに故人を見送る葬儀形式です。

費用平均は約42.8万円で、回答が多い価格帯は一日葬と同様に20万円以上〜40万円未満の価格帯が多く見られます。火葬のみであっても、葬儀社に依頼して搬送や火葬手続きなどを行う必要があるため、一定の費用は発生します。

また、一日葬よりもさらに時間が限られるため、故人との対面やお別れの時間は非常に短くなります。そのため、直葬を視野に入れるときは、事前にご家族で十分に話し合っておくことが大切です。

葬式費用は誰が払うもの?

葬儀費用の負担者は、法律上の明確な定めはありません。葬儀には数十万円から百万円を超える費用がかかることも多く、遺族にとって大きな経済的負担となり得ます。

そのため、誰が費用をどのように負担するのかを事前に確認しておくことが大切です。あらかじめ家族間で話し合っておけば、葬儀後に費用負担をめぐって意見が食い違うといったトラブルも防げるでしょう。ここでは、代表的な支払い方法について詳しく解説します。

喪主が全額支払うのが一般的

葬儀費用は、葬儀を取り仕切る「喪主」が全額を支払うのが一般的です。喪主を務めるのは、故人ともっとも近い家族が選ばれる傾向にあります。

優先順位としては、配偶者・長男・そのほかの子・両親・兄弟姉妹が一般的です。故人に複数の子どもがいる場合、年長の男性が喪主に選ばれるケースが多いでしょう。

ただし、喪主には費用負担だけでなく、葬儀全体の準備・手配・運営、寺院や神社など関係先への連絡、参列者の対応など、多岐にわたる責任がともないます。そのため、家族間での信頼関係や物理的な距離(同居・別居など)を考慮して決定されるケースも少なくありません。

また「喪主=葬儀費用を全額負担すべき」という認識が先行してしまうと、相続人間での費用負担の考え方にズレが生じ、後々トラブルのもとになるので注意しましょう。

施主が支払うこともある

葬儀費用は喪主による負担が一般的ですが、事情によっては施主が支払うケースもあります。施主とは、葬儀の実務や費用負担を担う立場を指し、故人の親族でなくても務められます。

たとえば、喪主が故人の妻で高齢のため体力的に不安がある場合、長男が施主として葬儀の契約や支払いを引き受けるケースが代表的です。この場合、喪主は遺族代表としての形式的な役割を担い、実務はすべて施主が対応します。

とくに、喪主が経済的に費用をまかないきれない場合や、高齢・若年などの理由で葬儀の手続きや契約が難しい場合には、施主が喪主に代わって費用を負担することがあります。喪主と施主の役割分担は、家族の状況や葬儀の規模などを踏まえ、柔軟に決めることが大切です。

複数人で支払うことも可能

相続人が複数いる場合は、家族全員で費用を分担して支払うことも可能です。故人の配偶者がすでに他界しており子どもが複数いる場合、兄弟姉妹で葬儀費用を等しく負担します。親族間での話し合いが円滑に進めば、均等に分ける方法がもっとも納得を得やすく、トラブルも少なくなるでしょう。

また、経済状況や年齢によって負担割合を変える方法もあります。収入がある兄が多めに負担し、学生の弟は少なめにするなど、家族の状況に応じて調整します。一人に負担が偏らないよう、家族全員でよく話し合って無理のない分担方法を決めましょう。

葬式費用を少しでも抑える方法

ここでは、葬儀費用を抑える方法を6つ紹介します。

適切な規模の葬式をする

葬式費用は、葬儀規模に応じて大きく変わります。費用を重視する場合は一般葬ではなく家族葬を選択するなど、適切な規模の葬式を検討しましょう。なお、一般葬の全国平均は約161万円ですが、家族葬にすると約105万円まで下がります。

ただし、費用を抑えるために単純に規模を小さくすればよいわけではありません。葬儀は故人とのお別れの場であると同時に、遺族や故人の知人が集う大切な時間です。費用面だけでなく、参加者の気持ちや故人の意思も尊重した適切な規模を選ぶことが、後悔のない葬儀につながるでしょう。

メモリードでは、ご希望に適した斎場・葬儀場選びをお手伝いいたします。 ぜひお気軽にご相談ください。

追加費用を抑える

葬儀費用を抑えるには、飲食や返礼品などの「追加費用」を最小限にすることが重要です。

たとえば、精進落としを仕出し弁当に変更するなど、食事のグレードを下げることも一案です。

葬儀に集まる家族・親族に高齢者が多い場合などは、豪華な料理を用意しても手がつかず、余ってしまうケースもあるでしょう。必要以上の飲食の手配は避けつつ、やや立派な仕出し弁当を選べば、参列者への失礼にもなりません。

一方、家族葬のように小規模で行う葬儀では、精進落としではなく食事会にする選択肢もあります。故人のお気に入りのレストランを訪れたり、出前を取ったりして偲ぶのもよいでしょう。

また、グレードアップのオプション(祭壇装飾、棺、会場演出など)も費用がかさみやすい要因です。プランに含まれる基本内容で十分な場合も多く、事前にどの項目にどれだけ費用がかかるのかを確認し、必要最小限に抑える判断が求められます。

複数の葬儀社で相見積もりを取る

葬儀費用を抑えるには、複数の葬儀社から相見積もりを取り、内容を比較・検討することが大切です。

葬儀は、多くの人にとって初めての経験であり、価格相場やサービス内容の違いを把握するのは簡単ではありません。また、葬儀の準備は突然のことが多く、冷静に判断できる時間が限られています。

そのため、提示された見積額が妥当かどうかを判断できず、結果的に必要以上の費用を支払ってしまうケースも少なくありません。

たとえば、同じ内容の葬儀でも、葬儀社Aでは100万円、葬儀社Bでは85万円、葬儀社Cでは90万円といった差が出ることもあります。この違いは、祭壇や棺、飲食・返礼品の内容、スタッフの対応範囲など細かな部分に起因します。

相見積もりを取る際は単に金額を比較するだけでなく、見積書の内訳や追加費用の有無も含めて丁寧に確認することが重要です。

補助金制度を使用する

公的な補助制度を活用すれば、葬儀費用の負担を大きく軽減できます。たとえば、生活保護を受けている世帯が葬儀を行う場合には、生活保護法にもとづく「葬祭扶助」を利用できます。これは、市区町村の福祉事務所に申請することで支給されます。

東京都の場合、大人で上限21万5,000円、小人で17万2,000円までが扶助額とされており、火葬費用や遺体搬送費の一部加算も認められているのです。

また、生活保護を受けていない場合でも、故人が加入していた健康保険から「葬祭費」や「埋葬料」といった支援を受けられる可能性があります。加入している保険の種類や地域によって手続きの方法が異なるため、勤務先の総務担当や自治体の窓口に早めに相談し、詳細を確認しておくとよいでしょう。

出典:民法「生活保護法18条」(https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144

出典:東京都福祉局「生活保護」(https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/2024tebiki06

香典を支払いに充てる

香典は、葬儀費用の一部を補う手段として活用できます。たとえば、葬儀費用が70万円かかる場合に香典で50万円集まれば、喪主の自己負担は20万円程度に抑えられるでしょう。

ただし、あくまで「補助的な収入」として捉えておくことが大切です。受け取る金額によっては費用負担を大きく軽減できますが、すべてをまかなえるとは限りません。

なぜなら、香典をいただいた方には感謝の気持ちを込めて「半返し」するのがマナーだからです。また、香典の金額は参列者の人数や関係性によって大きく変動します。あくまで予備的な資金と考え、頼りすぎないようにしましょう。

故人の遺産から支払う

葬儀費用は、相続開始後に故人の遺産から支払うことも可能です。通常、金融機関は名義人の死亡を確認すると、相続トラブルを防ぐために口座を凍結します。そのため、遺族はすぐに現金を引き出せません。

ただし、2019年より「相続預金の仮払い制度」がスタートしています。これは、遺産分割協議前でも相続人が故人の口座から一定額のお金を引き出せる制度です。

払い戻しが認められる上限額は「預貯金残高 × 1/3 × 法定相続分」で計算され、ひとつの金融機関あたり最大150万円までです。この制度を活用することで、葬儀費用や生活費などの支出をある程度カバーできるでしょう。

ただし、引き出したお金は「すでに相続した財産」として扱われるため、最終的な遺産の分け方に影響します。また、いったん遺産を使うと相続放棄ができなくなる点にも注意が必要です。

スムーズな相続手続きのためにも、制度の仕組みをよく理解したうえで、金融機関や専門家への相談を検討するとよいでしょう。

家族葬で支払いをする前に確認するべきポイント

家族葬は、参列者を限られた身内のみに絞ることで費用を抑えやすい一方、思わぬトラブルや負担が発生する場合があります。葬儀後に慌てないためにも、事前に以下の5つのポイントを確認しておくことが重要です。

遺言書

まず確認すべきは、故人が遺言書を残しているかどうかです。一般的に、遺言書には財産の相続先が記されていますが、葬儀の進め方や希望について触れている場合もあります。遺言は故人の最終的な意思を示すものであるため、相続人は尊重して対応する必要があります。

なお、本人が保管していた自筆証書遺言や秘密証書遺言は、偽造を防ぐためにも、勝手に封を開けず家庭裁判所で「検認」を受けなくてはいけません。検認なしで開封すると、罰則が科される可能性があります。

また、遺言書の偽造・破棄・隠匿は相続権を失う原因になるため、厳重に扱いましょう。

出典:裁判所「遺言書の検認」(https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_17/index.html

遺言代理信託

遺言代理信託は、信託銀行や信託会社に遺言書の作成や保管、そして内容の実行を任せるサービスです。これにより、故人の遺志が確実に実現されるため、遺族が手続きを煩雑に行う必要がなくなります。

もし、故人が遺言代理信託を利用していた場合、遺族はその旨を知らされていることが一般的です。遺言信託では、検認が不要な公正証書遺言が使われており、信託会社に死亡の連絡をするだけで遺言の内容が自動的に実行されます。

また、遺言代理信託は健康状態や年齢に関係なく利用でき、故人の財産が信託会社を通じて配偶者や子どもに直接払い出されます。通常の遺言とは異なり、相続人全員の同意がなくても遺言内容の撤回ができないため、故人の希望どおりの相続を確実に実現できる点が特徴です。

家族葬の費用を遺言代理信託で支払うケースもあるため、事前に信託会社に問い合わせ、内容や手続きを確認しておくことが大切です。

葬儀社との生前契約

家族葬の支払い前には、故人が生前契約をしていないか、必ず確認することが大切です。葬儀社との生前契約は、故人が存命中に葬儀の内容や費用を決めておくものです。これがあれば、残された家族は契約内容に沿って葬儀の準備を行えるため、準備の手間や費用の不明確さを減らせます。

また、故人が葬儀費用の一部を前払いしている場合もあるため、契約の有無を把握しないまま別の葬儀社で手続きをすると、前払い分が無駄になってしまうおそれがあります。事前に確認することで、余計な費用やトラブルを避け、スムーズに葬儀を進められるでしょう。

葬儀保険

家族葬の費用を支払う前に、故人が「葬儀保険」に入っているか必ず確認しましょう。葬儀保険とは、葬儀費用に特化した少額の死亡保険です。契約期間中に被保険者が亡くなると、指定された受取人に死亡保険金が支払われます。

また、一部の葬儀保険では、保険会社が葬儀社へ直接費用を支払う仕組みもあります。故人が生前に加入していれば、葬儀費用の負担を軽減できるでしょう。

なお、保険金の請求を行うと、通常5営業日程度で支払われます。請求の際は、死亡診断書や死亡届など、故人の死亡を証明する書類が必要になることが多いため、事前に保険会社へ確認し、書類を準備しておきましょう。

香典の取り扱い方

家族葬では、香典の扱いについてあらかじめ家族で話し合い、方針を決めることが大切です。香典とは、故人へのお悔やみや遺族への慰めの気持ちを表すために包まれるお金です。一般的に、遺族が香典を辞退していなければ、参列者は香典を持参します。

香典を辞退する場合は、訃報や葬儀案内の連絡時にその旨をきちんと伝えることで、参列者の理解を得やすくなります。家族葬を行うと決まったら、香典や供花、供物の受け取りについて家族で統一しておきましょう。

葬式の費用でトラブルにならないための注意点

葬儀は大切な人を見送る大切な儀式ですが、費用面のトラブルは遺族間の関係を悪化させるおそれがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ対策を講じておきましょう。

遺言を作成してもらう

葬儀費用は通常、故人の遺族が負担します。しかし、法律で「誰が必ず支払わなければならない」という決まりはありません。そのため、費用負担をめぐって家族間で意見が分かれるケースも少なくありません。

こうしたトラブルを避けるために、遺言書に葬儀費用の負担について明確に記しておいてもらうことが大切です。たとえば「葬儀費用は〇〇に負担してもらう」や「葬儀は簡素に行う」など、具体的に希望を書いてもらうとよいでしょう。

また、遺言書の付言事項として葬儀に関する希望を記す方法もあります。付言事項は法的な効力はありませんが、故人の考えや意向を伝えるためのメッセージであるため、相続人が何をすべきか理解しやすくなります。

なお、遺言書はトラブル防止のためにも、公正証書遺言など法的に確実な方法で作成し、信頼できる場所に保管することをおすすめします。

生前に協議しておく

葬儀費用のトラブルを防ぐためには、家族や親族であらかじめ協議しておくことが大切です。費用の負担方法や葬儀の規模などを事前に共有しておけば、遺された家族が困らずに済みます。

葬儀費用は一般的に高額になりやすく、事前の取り決めがないと「誰がいくら負担するか」などをめぐって、相続人同士で揉める原因になりかねません。たとえば「参列者は親族のみとする」「兄弟で均等に費用を負担する」といった具体的な方針を決めておくと、後の手続きがスムーズになります。

また「香典は受け取るのか」「費用は相続財産から出すのか」といった点も重要です。曖昧にせず、関係者で共通の認識を持てるようにしましょう。

さらに、本人が生前に葬儀社と契約しておく「生前契約」も有効な手段のひとつです。あらかじめ希望する葬儀の形式や費用を明確にしておけば、家族は方針に沿って落ち着いて準備ができます。生前契約をしている場合は、その内容を家族内で共有しておくと安心です。

ただし、事前に話し合いや取り決めをしていても、時間の経過や家族の事情の変化によって、そのとおりに実現することが難しくなる可能性もあります。実際に費用を支払う際には、事前の合意に頼るだけでなく改めて相続人全員で確認し、了承を得てから行いましょう。

見積もり内容をしっかり確認する

見積もりは、金額だけで判断せず「何が含まれているか」をしっかり確認することが、葬儀費用のトラブルを防ぐポイントです。

葬儀の見積もりには、式の内容や含まれているサービスが細かく記載されています。しかし、金額の安さだけに注目してしまうと「思っていた内容と違った」「必要なものが足りなかった」といった行き違いが起きやすくなります。

たとえば、格安プランに見えても「ドライアイスは1日分だけ」「安置所の利用が別料金」といった制限があるケースも少なくありません。その結果、希望していた日程で通夜や告別式が行えず、追加費用が発生する可能性もあります。

また、読経や返礼品、祭壇の飾りなど、一般的に含まれていそうなサービスがオプション扱いになっている場合もあります。見積書を受け取ったら、どの項目が基本料金に含まれているのか、数量や条件も含めて細かくチェックしましょう。

また、複数社から相見積もりを取ることで、不明瞭な項目や不要なオプションにも気づきやすくなります。納得のいく内容を事前に確認しておくことで、葬儀後の後悔を防げます。

葬儀社としっかりコミュニケーションをとる

葬儀社とのコミュニケーション不足は、費用や内容の認識違いにつながり、トラブルの原因になります。話し合いの場では遠慮せず、疑問点を明確にしましょう。

なお、葬儀の打ち合わせでは、以下のような内容を話し合います。


  • ・式の全体的な流れ(通夜・告別式の有無、参列者の範囲)
  • ・故人や家族の希望の反映(宗教形式、ナレーション、音楽など)
  • ・必要な手続きや準備の確認(火葬許可、会場手配など)
  • ・費用や見積もりの明細の確認(含まれるサービス、オプション)

親族間で意見が分かれている場合や、故人の遺志がはっきりしていない場合などは、まずは遺族内で考えを整理し、代表者がその内容を葬儀社にしっかり共有することが重要です。

たとえば「親族だけで静かに送りたい」「返礼品は簡素なものでよい」など具体的に伝えられると、葬儀社も適切な提案がしやすくなります。

また、費用面でも「基本料金に含まれるもの」と「追加でかかる可能性のあるもの」は明確に確認しましょう。金額だけでなく、何に対してお金がかかるのかを把握することが、不要な出費を避けるポイントです。対話を重ねることで、納得のいく葬儀を実現でき、後悔のない選択ができるでしょう。

まとめ

葬儀は突然の準備になることも多く、遺族が精神的に落ち着かないなかで進められるため、つい葬儀社に任せきりになるケースがあります。しかし、担当者とのやりとりが不十分だと「想定より高額だった」「希望と違う内容で進んでいた」といった行き違いが起きかねません。

昨今では、事前相談や見積もりを無料で行う葬儀社も多く、納得いくプランをゆっくりと選ぶことが可能です。「何にどれくらいお金がかかるのか」「どのような形式が自分たちに合っているのか」といった基本的なことから整理しておけば、いざというときにも後悔のないお別れの時間をつくれるでしょう。

メモリードでは、ご家族の想いを大切にしながら、小規模な家族葬から一般葬、社葬、大規模なご葬儀まで幅広くサポートいたします。公営斎場でのご利用も可能で、費用を抑えつつも心温まるお見送りを実現できるよう、さまざまな料金プランを用意しています。

葬儀に関するお悩みやご希望がありましたら、お気軽にご相談ください。

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