お布施の金額はどれくらい？知っておきたいマナーと相場

お布施はどのくらい包むものかご存じですか。周りに確認したいと思っても、お金のことは聞きにくいと感じている方が多いのではないでしょうか。聞けたとしても金額はさまざまで、お布施の相場はどれくらいなのだろうと、悩んでいる方も多くいます。

お布施の相場がわかりにくいのは、地域ごとの考え方や儀式によって異なるためです。また、お寺との関係性などさまざまなケースによって金額が変わってきます。このように、お布施の金額に決まりはないため、失礼にならないよう、お布施の基本を押さえておきましょう。

この記事では、お布施の金額の相場を紹介しています。儀式やケースごとそれぞれの相場をチェックしましょう。必要になったときに慌てないよう、マナーもしっかり確認しておきましょう。

お布施の金額はどのくらい？具体的な相場を解説

お布施の金額に決まりはありませんが、儀式によっておおよその相場があります。儀式ごとの具体的な相場をチェックしましょう。

葬儀・告別式

葬儀・告別式におけるお布施のおおよその相場は10〜50万円、全国平均は26万円程度です。葬儀・告別式のお布施は、お寺との関係性によっても異なりますが、地域によって大きく差があります。また、宗派や戒名別でも変わってくるものです。 また、葬儀・告別式後から四十九日法要までには、命日も含めた7日目に行う初七日法要があります。本来は単独で行うものでしたが、近年は葬儀当日の火葬後に行うケースが一般的です。

初七日法要も同じ日に行う場合は、別途お布施を用意する必要はありません。しかし、上乗せするケースも考えられるため、事前に確認しておきましょう。 以下で、葬儀・告別式の地域別相場と、宗派・戒名別の相場をみてみましょう。

地域別の相場

地域ごとの葬儀・告別式の相場は以下のとおりです。

北海道・東北	約31万円
関東	約29万円
中部	約27万円
近畿	約24万円
中国・四国	約21万円
九州・沖縄	約22万円

上記の金額には、読経料や戒名授与などの代金も含まれています。お布施の詳しい内訳については後述していますので、参考にしてください。 表からもわかるように、地域によって10万円程度の差が出ます。また、戒名料は宗派や文字数によって大きく異なり、500万円以上かかる場合もある点を押さえておきましょう。金額の差が出やすい、宗派・戒名別の相場を以下で確認します。

宗派・戒名別の相場

宗派・戒名別の相場は以下のとおりです。

	戒名の文字数と称号
宗派	6文字：信士・信女	9文字：居士・大女	10文字：院居士・院大女
浄土宗	5〜15万円	35万円	60〜100万円
真言宗	15〜20万円	50万円	500万円以上
臨済宗	30〜50万円	50〜100万円	100万円以上
曹洞宗	15〜30万円	50〜100万円	―
日蓮宗	35万円	75〜150万円	―
浄土真宗	20〜30万円	―	―

戒名とは、仏弟子となった証として与えられる名前のことです。仏弟子は、釈迦の弟子や仏教の教徒を意味します。戒名は故人に対して与えられるものというイメージが大きいですが、本来は生前に与えられるものです。

戒名は菩提寺（葬儀や法要をお願いする寺のこと）や地域社会へどれだけ信心していたか、生前の生き方によって位があります。故人が男性なら厚く信心していた順に院居士・居士・信士、女性なら院大女・大女・信女となるのが基本です。しかし、多くの場合は家族の希望で授けられます。

表からわかるように、宗派によって大きく金額が変わり、最も高額だと、真言宗で10文字授けてもらうと500万円以上です。一方で、浄土宗で6文字授けてもらうと、5〜15万円程度に抑えられます。

戒名料がどこまでお布施に含まれるかは、地域によって異なることを押さえておきましょう。たとえば大阪の場合、普通戒名であればお布施に含まれているため、戒名料を別で渡すことはありません。しかし、付ける位によっては別途渡すケースもあります。

四十九日法要

四十九日法要におけるお布施のおおよその相場は、3〜5万円です。一般的には、葬儀・告別式の1割程度とされています。四十九日法要とは、故人の成仏を願って行う法要です。

仏教では、亡くなった人があの世にいくと初七日から七日ごとに生前の行いを裁く審判を受け、最後の四十九日で極楽浄土に行けるかどうかが決まるとされています。本来は初七日から七日ごとに法要を行うのが通例でしたが、近年は省略することの方が一般的です。

四十九日法要と合わせて納骨法要を行うことが多いですが、お布施は別で準備する必要があります。また、四十九日法要までに位牌・仏壇・お墓などの準備が必要なため、遺族にとっては大変な時期です。

納骨法要

納骨法要におけるお布施のおおよその相場は、1〜5万円です。四十九日法要と同額くらいから低めの金額になります。 納骨法要とは故人の遺骨をお墓や納骨堂に納める法要です。納骨法要でも読経が行われるため、お布施が必要になります。納骨法要も僧侶に依頼するため、御車代なども別途必要になるでしょう。

新盆・初盆法要

新盆・初盆法要におけるお布施のおおよその相場は、3〜5万円です。新盆・初盆とは、故人が亡くなってから初めて迎えるお盆をいいます。毎年行うお盆法要でのお布施は5,000〜2万円程度ですが、新盆・初盆は多めに包むのが一般的です。 お盆の法要でも、別途御車代などが必要になります。ほかの法要の場合でも、僧侶に足を運んでもらう場合は、必要になると覚えておきましょう。

一周忌法要

一周忌法要におけるお布施のおおよその相場は、3〜5万円です。葬儀・告別式後の四十九日法要と新盆・初盆法要、一周忌法要のお布施の金額は、同額程度と覚えておきましょう。 一周忌法要とは、亡くなってから1年目の命日に行われる法要のことです。年忌法要の中で最も重要とされており、遺族は一周忌まで喪に服します。

本来は亡くなった日と同じ日の祥月命日に行うものですが、都合が悪い場合は土日や別日にずらすことも可能です。ただし、日にちをずらす場合は、前倒しに行うべきとされています。

三回忌以降

三回忌法要以降におけるお布施のおおよその相場は、1〜5万円です。三回忌法要以降は七回忌法要、十三回忌法要と続きますが、どの法要のお布施も同額程度で法要の流れも変わりません。

亡くなってから2年目にあたる、三回忌周期までに故人の来世が決まるとされているため、三回忌法要までは盛大に行われます。七回忌法要以降は、参列者が身内のみなど縮小して行うのが一般的です。

お布施の金額の内訳

お布施には、以下4つの金額が含まれています。内訳を詳しくみてみましょう。

読経料

まずは、僧侶にお経を上げてもらったことへのお礼としての費用です。読経はさまざまな法要でのお布施に必ず含まれます。読経は、徳を分け与えて故人を極楽浄土へ導くために行うものです。 葬儀での読経料の相場は、おおよそ3〜10万円になります。

戒名料

葬儀・告別式のお布施には戒名料が含まれます。葬儀・告別式の相場の幅が広いのは「宗派・戒名別の相場」で解説したように、戒名料が宗派や位によって大きく異なるためです。 葬儀での戒名料の相場は、おおよそ5〜500万円以上となっています。

御車代

僧侶の交通費にあたる御車代も、お布施の内訳に含まれるのが一般的です。僧侶の交通手段によって、ガソリン代やバス・電車代、タクシー代として渡します。

具体的な交通費は移動距離によって異なりますが、5,000〜2万円ほど包むのがマナーです。もし、遠方の僧侶を呼ぶ場合は、宿泊費に相当する金額を上乗せして包みます。一方で、葬家が送迎の車を手配する場合やお寺で葬儀や法要を行う場合は、御車代が不要です。

御膳代

葬儀や法要後の会食の席に僧侶が出席しない場合に渡すのが、御膳代です。この会食を「精進落とし」といい、親族が振舞います。 御膳代はおおよそ5,000〜2万円が相場ですが、これは僧侶1人あたりの金額です。大規模な葬儀や法要を行う場合、僧侶が複数人くることもあります。この場合は、人数分の御膳代が必要になることを押さえておきましょう。

また、お通夜と葬儀で2日分になる場合や実際に振る舞った料理が高い場合は、相応の金額を準備する必要があります。

そもそもお布施の意味とは？

お布施は僧侶に渡すものですが、僧侶に対しての報酬ということではありません。では、どのような意味合いで僧侶に渡すのでしょうか。また、同じく包んで渡す香典との違いも確認しましょう。

お布施の意味

お布施は、僧侶へのお礼の気持ちを表したものです。原則として、お布施は読経などへの対価ではなく、お寺に捧げる意味を込めて渡します。渡したお布施は、お寺の維持や活動費となるもので、お賽銭や寄付と同じようなものと捉えるとわかりやすいでしょう。

このように、活動への対価ではないため、包む金額に決まりがないのです。

香典との違い

香典もお布施と同じように、葬儀やお通夜で包むお金のことですが、目的が異なります。お布施が僧侶に渡すものであることに対し、香典は遺族に渡すものです。 故人への供養のためのものですが、遺族への葬儀費用の負担軽減の目的もあります。香典を渡す相手は故人の遺族です。

香典はお通夜や葬儀の受付時に渡します。「この度はご愁傷さまです」と挨拶も添えましょう。しかし、近年お通夜や葬儀の形は多様化しています。 家族葬など小さな規模で行う場合には、香典を辞退されることもあるでしょう。この場合は、参列時に香典を持参しないのがマナーです。

香典の包む金額の相場は、故人との関係性によって異なり5,000〜3万円ほどですが、きょうだいや子どもの場合は3〜10万円ほどです。また、持参する人の年齢が高くなるほど多く包む傾向にあります。 香典はお布施のように、地域や宗派によって金額が変わるようなことはほとんどありません。

お布施はあくまで「お気持ち」

お布施は僧侶へのお礼を形にしたものです。「お気持ち」で包むもののため、金額に決まりはありません。実際に訊ねても「お気持ちでどうぞ」と答える僧侶はたくさんいます。 気持ちを表す金額といっても、お寺との関係性によって異なるものです。葬儀や法要のみでの付き合いの場合は、金額は控えめですが、以前からお寺の行事に参加しているなど、付き合いが深い場合の金額は高くなります。

お布施にいくら包めばいいかわからず迷った場合は、相場を確認するといいでしょう。相場に近い金額であれば、失礼にあたることはありません。 金額によって供養の内容が変わるのでは、などの心配は不要です。もっとも、金額によって変化をつけるようなことはあってはなりません。

お布施でダメな金額はある？

お布施の金額にタブーな数字はありません。しかし「死」を連想させる「4」や「苦」を連想させる「9」は、避けるべきとされています。お布施はお礼の気持ちを表すもののため、これらの数字は無礼にあたると考えられていることを押さえておきましょう。

また、金額に決まりがないといっても、極端に少なすぎる金額を包むことは失礼にあたる可能性があります。少ないからといって依頼を断られることはないでしょうが、礼儀として相応の金額を包むようにしましょう。

ちなみに、香典においてもタブーな数字は同じです。

お布施を包む際のマナー

お布施を包む際には、以下のマナーがあります。どれを守らなくても失礼になるため、マナーは必ず守りましょう。 ただし、お布施のマナーは地域や宗教、お寺や僧侶との関係性によって異なります。以下では一般例を紹介していますが、事前に地域や宗教の情報を確認して、失礼にならないようにしましょう。

奉書紙または白い封筒に包む

お布施は、奉書紙を使用して包むか白い封筒に包みます。本来は、奉書紙で包んで僧侶に渡すのが正式な方法です。奉書紙を使って包む場合は、以下の手順で行います。先に半紙を使って中包みするのがポイントです。半紙を使った中包みの手順は以下のとおりです。

1.半紙を横長で少し斜めに置く
2.半紙の中央にお札を縦長の状態でおく
3.お札の幅に合わせて上下を折る
4.半紙の左側を折り、半紙の角をお札の左に添わせる
5.お札が隠れるように、お札の左側に合わせて折り込む
6.お札の右側に合わせてさらに折り込む

次に、中包みしたお金を奉書紙で上包みする手順を紹介します。奉書紙はツルツルした面が表、ザラザラした面が裏です。表裏の向きにも決まりがあります。

1.裏面を上して縦長に奉書紙を置く
2.左寄りに中包みを置く
3.左・右・下・上の順で奉書紙を折る

折り返して前に来た部分の上が一番前にある状態が正解です。 とくに中包みは、余白のバランスを考えてお札を置く必要があるため、コツがいります。慣れるまでは、先に折り目をつけてお札の位置を決めておくと、キレイに仕上がるでしょう。

何箇所も折り目がついた状態は見た目も悪く、失礼にあたります。一度で包めたものを使用しましょう。

奉書紙を用意できない場合は、コンビニなどで購入できる無地の白封筒を使ってもかまいません。お布施用に表に「お布施」や「御布施」と印刷された白封筒なら、文具店などで購入できます。

一般の白封筒を使う場合は、郵便番号の欄が印刷されていないものを選びましょう。封筒の種類によっては、中に入っているものが透けないように二重になっている、二重封筒がありますが、お布施を包む封筒としては適していません。二重封筒は不幸が重なることを連想させるため、避けるべきとされています。

また、手紙などを入れる場合に中袋を用いることがありますが、お布施では必要ありません。 お布施には一般的に水引きは不要とされています。しかし、地域によっては黄白や白黒の水引をかけるところもあるようです。自分の地域では水引きはどうするべきか、事前に確認しておきましょう。

新札を用意する

お布施として渡すお札は、新札を用意しましょう。僧侶に誠意ある姿勢を示すために新札を用意します。ただし、葬儀・告別式は突然必要になることが多いため、新札にこだわる必要はありません。 新札がどうしても準備できない場合は、なるべく使用感の少ない、きれいなお札を準備しましょう。ただし、これから法要が続くと分かっている場合は、事前に用意しておく方がよいでしょう。

ちなみに、香典は新札ではなく古札を使用するのがマナーです。間違えないようにしましょう。

お礼の向き

入れるお札の向きにも作法があります。前提として、すべてのお札を同じ向きに揃えて、紙幣の肖像画は表側にくるようにしましょう。また、奉書紙や封筒の表書きの上部に肖像画が位置するようにします。 お札の向きも、香典では逆になります。香典の場合は肖像画は封筒の下部になるようにしましょう。肖像画を伏せることで悲しみを表しています。

御膳代と御車代はお布施と一緒に入れない

御膳代と御車代はお布施とは別に包みましょう。お布施は僧侶へのお礼の意味が込められています。一方で御膳代は食事代、御車代は交通費になるため渡す目的が異なり、別で包むのが正しい包み方です。 ただし、渡すタイミングはお布施と同じタイミングで構いません。タイミングについては「お布施を渡す正しいタイミング」で詳しく解説します。

お布施の書き方とマナー

お布施には書き方の決まりやマナーがあります。正しいマナーを守って、お礼を適切に伝えられるようにしましょう。

黒墨で書く

お布施の表書きは黒墨で書きます。薄墨で書くのは控えましょう。僧侶へのお礼として渡すお布施・御膳代・御車代は、濃い黒墨で書きます。

一方、香典は薄墨です。薄墨を使う理由には諸説ありますが、故人を追悼する気持ちを込めて薄墨を使用するとされています。故人を悼んだ涙で墨が薄くなった、急な訃報を聞き慌てて駆けつけたため墨を十分に吸えなかった、などが由来とされているようです。

このように、墨を使い分けるには理由があります。間違えると失礼にあたるため、気をつけましょう。また、本来は毛筆で書くものですが、筆ペンを使用しても問題ありません。

ただし、黒墨と薄墨の使い分けは地域によって異なる場合があります。あらかじめ地域のマナーを確認しておきましょう。

旧字体の漢数字を使う

お布施の裏面には、自分の住所と包んだ金額を書きます。この金額は旧字体の漢数字を使いましょう。旧字体の漢数字は以下のとおりです。

漢数字	一	二	三	五	六	七	八	十	千	万
旧字体の漢数字	壱	弐	参	伍	陸	漆	捌	拾	仟	萬

また、「円」は「圓」となります。よって1万円を包んだのなら「金壱萬圓也」と記入しましょう。上記の表は、タブーとされている「四」と「九」を外しています。

封筒の書き方

お布施のルールを確認できたところで、次は封筒の書き方をみてみましょう。

表書き

表には、中央上部に「お布施」または「御布施」と書き、その下に名前を書きます。名前はフルネームまたは苗字のみ、もしくは「◯◯家」が正しい書き方です。

裏書き

封筒の裏に書く住所と金額は左下に書きましょう。まずは住所を書き、続いて金額を書きます。

お布施を渡す際のマナー

お布施はそのまま持ち歩くものではありません。袱紗（ふくさ）で包んでおくのが適切です。

袱紗とは金封を包む布のことをいいます。お布施だけでなく、香典やご祝儀なども袱紗に包んで持参するのがマナーです。袱紗にはさまざまな色・形のものがあります。色は、利用するシーンに合わせて使い分けないと失礼にあたるため、注意しましょう。 お布施に適した袱紗の色は寒色系です。お布施に限らず弔事用で使用する袱紗は、黒やグレー、ネイビーなどの寒色系を用意しましょう。

赤やピンク、オレンジなどの暖色系はお祝いの席で使用する慶事用のため、お布施での使用は避けるべきです。紫色であれば、弔事と慶事のどちらでも使用できます。

袱紗の形は、使い勝手や好みで選んでかまいません。袱紗には包むタイプと挟むタイプがあり、包むタイプが従来からある定番のタイプです。包むタイプはお布施を渡した後、コンパクトに畳めるため、フォーマルシーンで使用するコンパクトなバックにもおさまりやすいでしょう。

包むタイプの包み方手順は以下のとおりです。

1.ダイヤ型になるように袱紗を広げる
2.中央のやや右側にお布施を置く
3.下・上・左の順にお布施を包むように折る
4.左から折って余った部分は表側に折り込む

僧侶に渡すときはスムーズにできるよう、広げ方を確認しておくとよいでしょう。

スムーズに渡せるか不安、もっと手軽なものがよいという場合は、挟むタイプがおすすめです。挟むタイプはコンパクトにはできませんが、きれいな形をキープできるため、バッグの中でお布施が曲がることはありません。 袱紗がなく急遽お布施を包むことになった場合は、ハンカチで代用しましょう。汚れのないなるべくシンプルな寒色系のものを選び、アイロンがけをして使います。

お布施を渡す正しいタイミング

お布施は、葬儀とそれぞれの法要で、渡すタイミングのマナーがあります。失礼にあたらないよう、ベストなタイミングを確認しましょう。どちらも始まる前と後のタイミングで渡せます。

始まる前のタイミング

お布施を渡す一般的なタイミングは、葬儀や法要が始まる前です。葬儀や法要を始める前に、喪主は僧侶に挨拶します。このタイミングだと、自然な流れでお布施を渡せます。忙しい僧侶であれば、葬儀・法要後にすぐ出なければいけない場合もあるため、始まる前のタイミングだと落ち着いて渡せるでしょう。

僧侶が複数人の場合は、最も位の高い僧侶に渡します。僧侶には階級があります。もし、どの僧侶が位の高い方かわからない場合は、法衣の色で確認しましょう。位の低い順に、黒色・茶色・水色・緑色・紫色・緋色です。

お布施を渡す際は一言添えましょう。葬儀の前に挨拶する場合は「本日は、故人のためにお勤めをよろしくお願いいたします」と伝えます。 また、法要の前なら「本日は故人の（四十九日・一周忌など）法要でお世話になります。よろしくお願いいたします」と伝えましょう。

終わった後のタイミング

葬儀当日は忙しいことが多いため、僧侶へ事前の挨拶が十分にできないことがあります。そのようなときは、終わった後のタイミングでお布施を渡しましょう。法要の時も同様、終了したタイミングで渡しても差し支えありません。 葬儀での挨拶は「本日はお越しいただきありがとうございました」と、言葉を添えます。法要でも「本日はありがとうございました」と、感謝の気持ちを伝えましょう。

忙しく葬儀の後もお布施を渡す時間が作れなければ、後日お寺に出向いて渡すこともできます。その際は、当日に渡せなかったことのお詫びを伝えて、感謝の気持ちを述べましょう。

切手盆に乗せる

御膳代と御車代はお布施の封筒と分けますが、渡すのはお布施と一緒でかまいません。袱紗から出したお布施を切手盆に乗せて差し出しましょう。重ねる際は、一番上がお布施になるようにします。御膳代と御車代はどちらが上になっても問題ありません。

切手盆は金封を渡す際に、相手に感謝と敬意を表す道具として用いられます。お布施をそのまま手渡しするのは、封筒が汚れて失礼になるなどの理由から、避けるのが基本です。

切手盆は別名、祝儀盆とも呼ばれています。呼び名のイメージから、お祝いの席で使用するものと思われがちですが、冠婚葬祭で使用できるものです。ただし、仏事用途専門の切手盆もあります。切手盆にあしらわれる家紋を、金ではなく銀色に入れたものが仏事用です。

1.お布施を渡す手順を確認しましょう。

1.お布施を袱紗から取り出す
2.布施を自分に向けた状態で切手盆にのせる
3.切手盆を両手に持ち、右回りに回転させて僧侶からみて正面になるようにする
4.切手盆を僧侶に差し出し、受け取ってもらったら切手盆を下げる

はじめから、僧侶の方に向けて渡さないように注意しましょう。

切手盆は葬儀社によって貸し出しているケースがあります。自分で用意できない場合は、レンタルできるかを確認しましょう。

どうしても切手盆が用意できない場合は、袱紗のみで渡してもかまいません。袱紗で渡す場合は、以下の手順で行いましょう。

1.僧侶に渡すタイミングで袱紗から取り出す 2.袱紗を畳んで切手盆代わりにする 3.以後は切手盆の渡し方と同じ手順で行う

感謝の気持ちが伝わるよう、丁寧に扱います。

お布施の相場を確認する方法

お布施の相場は地域や宗教・宗派、お寺によっても異なります。そのため、相場を調べても実際の相場と差があることも多いでしょう。

具体的な相場が知りたいなら、素直に相談するのがおすすめです。普段から付き合いのあるお寺なら、相談に応じてもらえる可能性もあります。直接聞くのは失礼なのでは、と思うかもしれませんが、わからず無礼な渡し方になってしまうほうが失礼になるでしょう。

ただし、事前のリサーチなく細かく相談するのはおすすめしません。お寺とは今後も付き合いが続くため、お互いが気持ちよく行えるように努めましょう。 特別な付き合いのあるお寺がなく、葬儀社が提携しているところで行う場合にお布施が高いと感じるなら、葬儀社に相談しましょう。場合によっては、お布施の負担が少ないお寺を紹介してくれることがあります。

お布施の金額が不透明なことが負担と感じるなら、僧侶派遣サービスなどの利用も検討しましょう。葬儀社が運営していたり、サービスを行っていたりする会社を紹介してくれることもあります。 派遣サービスなら事前に料金がはっきりしているため、自分で調べる負担もなく、失礼にならないだろうかと不安になる必要もありません。

本来、お布施は「気持ち」であるため、相場という考えはありませんでした。しかし、現代では葬儀や法要の規模、儀式の重要さに応じて相場を設けるお寺が増えています。

相場どおりの金額を包むのが望ましくはありますが、どうしても相場がわからない、相場がわかっても高額であった場合は、無理せず包める金額を用意しましょう。お布施は、お寺や僧侶に対して感謝の気持ちが込められているかが重要です。 葬儀や法要に慣れている人は、ほとんどいません。困ったときは、素直にお寺や葬儀社に相談しましょう。さまざまな形式で行われる葬儀や法要が当たり前になりつつある現代では、お布施に関する相談を受ける僧侶や葬儀社も増えているでしょう。

こちらの記事では、菩提寺への連絡方法について解説しています。連絡する際に伝える内容や菩提寺が遠い場合の対応、僧侶に確認したいポイントも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

お布施として包む金額のおおよその相場は10〜50万円です。全国平均では26万円程度になっています。相場金額の幅が広いのは、お布施の金額に決まりがないためです。また、行う儀式によってや地域、お寺との関係性によっても変わってきます。

お布施には、読経料・御車代・御膳代が含まれます。とくに葬儀の場合は、これら以外にも戒名料が含まれ、宗派や位によっては500万円以上と高額になるケースもあるため、葬儀で包むお布施の金額は、ほかの儀式よりも高くなりがちです。

お布施は僧侶へのお礼の気持ちとして渡します。そのため、失礼にならないようさまざまなマナーがあります。急遽必要になった際に慌てることのないよう、包み方や差し出し方を確認しておきましょう。

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